2022年6月15日(水)文化放送で放送された大竹まことゴールデンラジオ。
社会学者の宮台真司さんがゲスト出演し、日本衰退の原因を語りました。
それについて文字起こしを行いました。
宮台真司が日本衰退の原因を語る【壇蜜 大竹まことゴールデンラジオ 2022年6月15日】
日本衰退の原因=既得権益を守るアベノミクスによって、生産性の高い産業構造にシフトできなかった
(大竹まこと)さて!始まる前に皆さんとお話しさせて頂いて、日本がダメになってますね〜、そうですねー。このあと日本はもっと加速度的に状態が悪くなっていくっていう。
(壇蜜)さらにですか?
(大竹まこと)さらに悪くなるっていう話で愕然としています。
(宮台真司)うん、間違いなです。
(壇蜜)今も瀕死なのに。
(宮台真司)理由を考えれば簡単ですよね。
(大竹まこと)うーん
(宮台真司)昔ね、おろかな経済学者がリフレ派と称して金融緩和を主張してましたよね。アベノミクスってのは金融緩和が主軸で、財政出動で経済を加速して、そのあとに産業構造改革をするっていうんだけど。
産業構造改革まったくできなかったですよね。実はリフレ派、あるいは金融緩和の第一の矢にかかわる部分っていうのは、シャブ漬けのシャブなんですよね。
それは生産性の低い産業を温存したままであってもね、彼らが金を自由に回せるように、金を借りやすくする。これが金融緩和なんですよね。
その間、シャブ漬けだから、一時的な元気でしかないから、痛みを伴うような構造改革をして生産性の高い産業にシフトしていれば良かったけど、そもそもソレをさせないための既得権益にしがみ付くための金融緩和だったという事が、アベノミクスの本質なんですね。
おんなじで、第二の矢の財政出動に関わるものが、MMT、Modern Monetary Theoryっていうものです。
(大竹まこと)はい。
(宮台真司)実はこれも第二のシャブなんですね。それは『財政出動すれば、するだけして、政府は倒れない、財政は大丈夫だ!』っていうのがMMTなんですけど。so whatですね。だから何?
例えば、年金財政もね。年金財政が破綻することはないって僕はずっと言ってました。なぜかっていうと、給付するお金を下げればいいだけだから、年金財政は破綻しない。
so what?貰えるお金が少なくなってしまえば終わる。
おんなじでね、政府が財政を潰すことはなかったとしても結局それによって、財政出動によって保たれるのは『沈みかけた船の座席争い』
沈みかけた船が沈むのを遅らせるってことでしかないから。
結局、その間に産業構造改革を達成できなければ最終的に生産性の低い産業だけが残る。日本の物やサービスは売れず、外貨は獲得できずっていうことで、ドンドン落ちていく。
前から言っていた通りですよね(笑)
世界はグリーンエコノミーの覇権を取りに行っているが、日本は…
(壇蜜)じゃあもう、船は跡形もなく?
(宮台真司)今まさに気候変動を背景にしたエネルギーシフトってことですよね。これを達成するかどうかで、グリーンエコノミーを握れるかどうかが決まるってことで。これは政治的な思惑も勿論あってね、GAFA的な思惑ってこともあって、一挙に先進国で加速してるんですけど。
EVの普及率をみてもね、ヨーロッパ、アメリカの一部の州の割合にして、十分の一なんですよね。日本はハイブリッドを数えてるので、高いように経産省が粉飾決算をしてますけど、これはウソですね。
ということで、これも既得権益を動かすような産業構造改革ができないことが典型で、今でも地方経済団体は沖縄を除くと、全部トップは電力会社っていう事。
電力会社っていうのは、まさに”地方独占巨大電力会社”って僕は言いますけど、既得権益の象徴なんですよ。だからエネルギーシフトが全然できない状態。
20数年で充電池って100分の1の価格になったんでね。至る所に充電池を装備する地域や家にね、スマートグリッドとスマートメーターを整備すれば太陽光のような比較的不安定なエネルギーの不安定部分を吸収できるんですけど、それもしないで、巨大電力会社を温存するために火力で、ようするに、差を埋めるってことをずっとやってきたから、こうなってしまったって事で。
だから、すべて想定した通りの自業自得が起こってるって事ですね。
(壇蜜)シャブは牛丼だけじゃなかったか。
(宮台真司)そうですねwww
(大竹まこと)そういうふうにお金がジャブジャブだったために新しい産業とかそういうのが生まれづらくなって。。
(壇蜜)しかも潰されかけてるような、頭から。
(宮台真司)エネルギーシフトにして成功して 成功しつつある国は産業構造を変えたんですよ。
地域独占電力会社を基本的に解体をして、分散型のエネルギー源と調整を行うためのテクノロジーを、一つの大きな市場だと見なして、そこにお金を注ぎ込み、人を注ぎ込みっていうふうにやってきて、エネルギーシフトを達成してきてるけど、日本はそれがほどんどできてないっていう事ですよね。
日本の衰退を防ぐ手段は産業構造を変える以外にない
(大竹まこと)沈みかけた船は加速するっていうおっしゃってましたけど、ここに打つ手って何かあるんですか?
(宮台真司)ないですね、全く。
産業構造を変えて生産性を上げる以外に手はないです。だって生産性が上がらなければ、日本の経済指標は元に戻らないですよ。
なぜ最低賃金が欧米の半分なのか?
どうして、2015年〜18年にかけて平均賃金も韓国に抜かれ、一人当たりGDPも韓国に抜かれたのか?
これは生産性が低いからなんですよね。
(大竹まこと)はい
(宮台真司)生産性を上げるっていうのはつまり産業構造改革で、、
(壇蜜)新しいことしなきゃダメ。
(宮台真司)そうです。生産性の低い産業に退場してもらって、生産性の高い産業に新規参入してもらう。人も資本もそれに従って当然移動するっていう事ですね。
(大竹まこと)はい、日本はますます厳しい状況に陥っていくというお話です。
文字起こしここまで